
成長期SaaS企業が実現した「カルチャードリブン採用」
会社情報
会社情報
会社名: 株式会社クラウドイノベーション
所在地: 東京都渋谷区
導入背景と課題
株式会社クラウドイノベーションは、BtoB向けのマーケティング自動化ツールを提供する急成長中のSaaS企業です。創業5年目で従業員数が150名を超え、特にエンジニア組織の拡大が急務となっていました。
しかし、技術力を最優先に採用を進めた結果、深刻な問題が発生していました。CTOの山田氏は当時の状況をこう振り返ります。「GitHubのコントリビューションや技術テストの成績は申し分ない。でも入社してみると、うちのフラットでスピーディーな開発文化に馴染めない人が多かった。朝会での積極的な発言を求めても黙ってしまう、プルリクエストのレビューで建設的な議論ができない、『とりあえずやってみよう』という姿勢についてこれない…」
数字も深刻でした。2023年度のエンジニア採用において、入社3ヶ月以内の離職率は実に40%。採用コストは1名あたり150万円かかっており、年間で約2,000万円が無駄になっていました。さらに、チームの士気低下や、残されたメンバーへの負荷増大など、見えないコストも膨大でした。
解決策の実装
2024年1月、同社はSOCIAL RECRUITの導入を決定。まず着手したのは、自社の開発文化を言語化し、5軸で定義することでした。
定義された開発文化の5軸:
- 自律性(5段階中4.5):個人の裁量と責任を重視
- 組織階層(5段階中1.5):フラットな組織、誰でも意見を言える
- 変化への対応(5段階中4.8):高速PDCA、失敗を恐れない
- コミュニケーション(5段階中4.2):オープンで活発な議論
- 品質基準(5段階中3.5):完璧より速度を優先
次に、エンジニア候補者のGitHubとLinkedInのデータを統合。コードの書き方だけでなく、プルリクエストでのコミュニケーションスタイル、OSSへの貢献姿勢、技術ブログの文体などから、価値観や行動特性を分析しました。
特に効果的だったのは、個性タイプ別のスカウトメッセージです。論理型のエンジニアには「弊社の技術スタックとアーキテクチャの詳細」を、共感型には「チームメンバーのインタビューと開発文化」を、行動型には「実際のプロダクト開発スピードと成果」を前面に出すなど、4パターンを使い分けました。
成果と今後の展望
導入から6ヶ月後、劇的な改善が見られました。
定量的成果:
- スカウトメール返信率:8% → 24%(3倍向上)
- 面談実施率:25% → 62%
- 90日定着率:60% → 92%
- 年間採用コスト削減:1,800万円
- 採用リードタイム:平均45日 → 28日
定性的成果: 入社したエンジニアの活躍も目覚ましく、新卒入社2ヶ月目でプロダクトの主要機能をリリースしたメンバーも現れました。チーム全体の開発速度は1.3倍に向上し、コードレビューの活性化により品質も改善されています。
CTO山田氏は語ります。「技術力があってもカルチャーに合わない人を採用してしまうという悩みが完全に解決しました。今では面接前から『この人なら間違いない』という確信を持てるようになり、面接も『確認作業』から『相互理解の場』に変わりました。チーム全体の一体感も格段に上がり、プロダクト開発が加速しています。」
現在、同社ではSOCIAL RECRUITのデータを活用し、既存社員の適性配置にも活用を始めています。「採用だけでなく、組織開発全体のOSとして機能し始めている」と山田氏は期待を込めて語りました。